深まった男


 彼は以前メチャメチャ好きだった人や様々なコンテンツが面白く無くなっていた。そして興味が無かった人やコンテンツが面白くなっていた。前に尊敬していた人でさえ話を聞いてもつまらない。周りの友人知人の話がつまらない。気がつくと自分ばかり喋っている。人は彼の話が面白いという。しかしこれは彼にとって大問題だった。何せ対等に話せる相手がいない。普通の話では心が通じることもあるが、深い話になると心が通じ合うということがなくなっていた。

  彼はある広場のイベントに行った。一角にラジオ局のテントがあった。そこで繰り広げられているトークの面白いこと。MCの素晴らしいこと。そして観客も夢中になっていて、テント全体が盛り上がっていることに大変な興味を覚えた。これはいい。出来たらこのラジオ局のMCや出演者達と仲良くなりたいと思った。そこで、このラジオ局の番組を毎日聴くことにした。このラジオ局の番組にも同じことが言えた。以前面白かったものがつまらない。そうでも無かった番組が面白い。

 彼はもう分かっていた。自分が深まったために、以前面白かった人やコンテンツが浅いとわかり。前にはわからなかった人やコンテンツが分かるようになったのだった。彼は確信した。これはいける。自分は本当の面白さが分かる。

 これから彼は面白い人たちと出会い、仲間になっていくだろう。そしてその人達と心の通じる楽しい話をして、楽しい人生を送ることになるだろう。

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