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Harry Motto

  あたしは日本女子卓球界のスーパー・スペシャル・ホープよ。ぶっちゃけ兄と共に天才なの。偏差値80で全国模試でも1位。昨日の試合では世界女王に負けちゃったけど1セット取ったわ。悔しかったけど、あたしの15歳という年齢を考えれば負けて当たり前。この世界は実力がなければ勝てない。実力さえあれば勝てる。世界女王以外にもあたしより強い相手は何人もいるし。これから若手も出てくるわ。だから、私は今の世界女王を超える圧倒的な実力をつけるの。兄は勝てない時代があったけど、この前の大会で100年に一人と言われる天才に勝ったわ。はっきり言って練習やれば勝てるってものじゃないの。この偏差値80の頭脳がものを言うのよ。戦略戦術を練りに練って、試合中も常に頭を使うのよ。でも全てを見切れって言うのは無理な話よ。そこはリスクを取るしかない。でもリスクは減らしていくものなのよ。リスクをとっていい気になってる人たちって本気で勝つ気があるのかしら。私の言う実力の意味わかってくれたかな? 急ぐ気持ちは強いけど、じっくりいくわ。  Wait & See  団体戦では自分のポジションをわきまえてチームに貢献するの。勝てるわ。

観音菩薩像 5話 観音菩薩像

 俺は労働基準監督官、今日は非番だ。久しぶりに高校のときの同級生に電話するか。 「もしもし」 「よう」 「元気か?」 「ああ、どうした」 俺は今回の件の顛末を話した。 「なるほど、正木って奴はバカだな」 「そうだなバカだ。だが、あいつと電話で話してる時、なぜかおまえの顔が頭にうかんでな」 「おいおい、俺は労働組合のプロだ。ちゃんと戦略、戦術を持ってやってるさ」 「だろうな。今度また飲みに行こう」 「だな、積もる話もあるし」 「じゃあな」 「じゃあ」 俺は久しぶりに公園へ行った。きちんと2列に並んだ10人くらいの女子高生が走っている。 「イチニ、イチニ」 「おい、もっと大きな声を出せ」 ジャージ姿の体育教師らしき男が叫ぶ。 「ハイ、イチニ、イチニ」 「もっとだ」 「ハイ、イチニ、イチニ」 俺は思った。こうやって規則正しく行動するように訓練されて、上のやつに物も言えないような若者たちが育っていくのかなぁと。それからしばらくして、公園の敷地内にある美術館に行った。古美術展か、入ってみるか。木彫りの観音菩薩像、、、古いものだが見事だ。説明書きをみると、これは権力が民衆に慈悲を与えるために作ったものらしい。だが、この威圧感はなんだ。まさか民衆を抑えつけるためのものじゃないだろうな。いや待てよ、この目俺の目に似てる。射抜くような鋭さ。なるほど、権力をバックに悪を威圧する、俺たち労働基準監督官と観音菩薩は似た者同士ってわけだ。今回の件では悪いやつはいなかったが、いつも俺たちが目を光らせてるってことだな。俺は薄暗い公園内のバス停へと歩いた。ほんのりと青い空に月が綺麗だった。

観音菩薩像 4話 労基署動く

 プルルル、あ、電話だ。 「もしもし、正木さんですか?」 「はい、どなたですか?」 「闇の男ですよ。フフ」 え、マジか、録音しなくちゃ。 「ちょっと待って下さい」 「録音するんですか?」 あ、当然こいつは僕の記事を読んでるはず、バレてるな。でもやっとかないと。録音アプリを起動して、赤いボタンをタップする。 「いえいえ、何か?」 「あの記事はひどい」 「そうでしょうか」 「私が悪者扱いだ。私にやましいところはありませんよ。私はただ、不用意な記事で仮に、うな蔵が潰れた場合、本社や全国にある店で働く人たちが職を失うことが心配で、ああいう行動をとっただけです。それに1つの会社が潰れると、取引のある会社も損害を受ける。それに、これが一番の心配なんですが、うな蔵の客が残念に思うでしょう」 「なるほど」 こいつ案外悪いやつじゃないのかな。 「あなたのように、たった1人の店長を助けたいという、安っぽいヒューマニズムとは違う」 「1人の人間を助けたいと思うのが、安っぽいですかね」 「フフ、あなたらしい言い様だ」 「あなた何で、うな蔵にそんなに肩入れするんですか?」 「私はあそこの、ひつまぶしが好きでね。あのうまさとスピードで1100円でしょう」 「へ〜、僕もです。しかし、たったそれだけの理由で。ずいぶん酔狂な人だ」 「酔狂という点ではあなたも同様だ」 「ハハ、わかりました。僕も、うな蔵の名前に傷がつく様なことはしたくないです。でも記事は書きますよ」 「そうですか、あくまで手を引く気はないと」 「はい、連載は後1話で締めようかと思ってます」 「わかりました。また読ませていただきます。では」 「はい、どうも」 物腰は柔らかいが押しの強いタイプ、結構いいひとだし。でも前回の話は削除できないぞ。僕にも読者がいるんだ。そう簡単にはいかないさ。ちょっと、うな蔵に行ってみるか。 「やあ」 「あ、正木さん」 「店長さん、その後どうですか?」 「労働基準監督署の人が店に来たんです」 「え、そうなんですか」 「でも、もう本社のスーパーバイザーさんのおかげで労働条件は改善されたんで、いろいろ聞かれましたが帰られました」 「へ〜」 「いろいろ有り難うございました」 「いえ、僕のやったことは余計なおせっかいでしたね」 「そんなことはないです。心配してくださって」 「ハハ、あなたの頑張ってる姿を見たら、誰でも応...

観音菩薩像 3話 闇の男

 僕はライター、正木。うな蔵へいってその後の様子を聞いてみるか。 「やあ」 「あ、正木さん」 「どう? その後」 「はい、全然楽になりました。本社のスーパーバイザーさんがいらっしゃって、指導を受けました。あたし店の運営に不慣れなところがあって、自分でしょいこんでたんですね。バイトの子にうなぎを焼いてもらうとか、初歩的なことを教わりました。今は8時間働いて帰ってますし、週休2日になりました。本社や本社に掛け合ってくださったオーナーさん、それから正木さんには感謝してます。 「そう、それはよかった。ひつまぶしね」 「はい」 「やっぱりうまい。この会社って、なかなかやるよな」 僕がひつまぶしを食べ終わってトレイを返すと、ラフな格好の知らない男に呼び止められた。 「ちょっといいですか?」 「はあ、どなたですか?」 「今回あなたがSNSに投稿なさった、うな蔵に関する記事を読ませていただいたものです」 「それはどうも」 「あなたに忠告しておきたい事があって」 「はあ」 「あそこの席に座りましょう」 僕たちは小さなテーブルに、向かい合って座った。僕から男に切り出した。 「まず、あなた、どういう立場の人なんですか?」 「いえね、あなたの記事に不審な点がある1人の人間です。それ以上のことは言えません」 あやしい。だがオーナーには副回線で電話してるし、店長が本社に僕のことを話すはずはない。オーナーや本社がらみの人間じゃないことはハッキリしてる。ただのアンチか? 「不審な点と言いますと?」 「まず、あなたがちゃんと取材してこの記事を書いているのかということです。いいですか。うな蔵は年商30億の会社です。もしいい加減なことを書いてイメージに傷がついたとします。1割の損害賠償で3億だ」 男は薄笑いを浮かべた。ピンと来た。脅されている。圧力をかけられている。しかし僕は意外と落ち着いていた。このあいだから少し場数を踏んだと言えるのだろうか。 「それは僕に記事を削除しろっていうことですか?」 「いえ、そうは言ってません」 どういうことだ。圧力をかけておいて削除はしないでいいとは。まあ削除させたことがバレたら圧力をかけたという事実は残るが。 「じゃあ、記事を書き直せと」 「そうも言ってません」 なるほど、書き直す前に、SNSを日付入りのスクショで残しておけば、それも証拠になる。 「じゃあ、どうしろと」...

大惨事世界大戦

198X 年「オサツ」という芋が品種改良によってできた。この芋はめちゃくちゃ美味しかったが値段が高かった。お金のある国では、みんなが夢中になって食べた。ところが問題があった。「オサツ」を食べると 「COプー」というオナラが出るのだ。しかし、無臭だったのでみんな気にしないでどんどん食べた。これは温室効果ガスだったので地球温暖化が急激に進んでいった。南極の氷が溶けて、冷蔵庫の氷も溶けていった。そして、海面が上昇して、お金のない国が水没していった。怒った「ガイアの神」が、ウイルスをばらまいた。そのせいで、経済が打撃を受け、人々は「オサツ」を食べられなくなり、地球温暖化に歯止めがかかった。しかし「コロナイン」という薬が開発され。それを塗ると感染が防げるようになった。そしてまた「オサツ」が食べられるようになって地球温暖化がますます進行していった。  お金のない国は「貧国同盟」を作って、お金のある国を攻撃し始めた。お金のある国はもともと「金国連合」を作っていて、圧倒的な軍事力で「貧国同盟」を押さえつけた。通常兵器では勝ち目がないと踏んだ「貧国同盟」は、お金を出し合って核を開発した。 「199X 年 地球は核の炎につつまれた」 続きは昔の某人気アニメをご覧ください。 「You は Shock    愛をとりもどせ」

観音菩薩像 2話 ライターだぁ

 俺はライター。あの労働基準監督官やる気あんのか。うな蔵の店長に電話してみよう。 「もしもし」 「はい、うな蔵です」 「あ、店長さん? 正木ですけど」 「はい、どうしました?」 「うん、労働基準監督署にそっちに電話してくれって言ってるんだけど、ズルズル先延ばしにされそうなんだ。君から動かないと道は開けないよ。チャレンジしなよ」 「すいません、ご心配おかけして。なかなか勇気が出ないんです」 「そうかぁ。取材がてらオーナーに探りを入れてみたいんだけど、オーナーの電話番号教えてよ」 「はい、いいですけど」 「君に頼まれたとは言わないからさ」 「わかりました、、、」 「じゃあね」 「どうも」 この子いい子だし仕事もできるんだけど上のやつに逆らえないタイプなんだよな。オーナーに電話してみるか。念のためデュアルSIMの副回線使っとこ。 「もしもし」 「はい、どなたですか?」 「うな蔵の客なんですけど」 「はあ、何か?」 「福岡支店の店長さんのことですが、長時間労働で倒れかけてるのご存知ですよね」 「さあ、責任者は彼女なんでそこまでは」 「彼女が病院から受け取った診断書、スルーしたそうじゃないですか?」 「え? それは何かの誤解ですよ。僕は彼女が店をやりたいって言うから出資しただけで、彼女が辞めたければ、それは自由ですよ」 「責任者はオタクでしょう」 「いいえ、本社から権利を買ってるだけです」 「僕はライターですけど、新聞社の役員とラジオのパーソナリティの方に知り合いがいますよ」 「え、脅迫するのか? それって犯罪だぜ。こっちから訴えるぞ」 急に凄まれてドキッとした。 「ど、どうぞご自由に」 「なめんなよ若造」 「いえ、じゃあ失礼します」 なんかやばいことになってきた。まあ、副回線だから大丈夫だろう。脅してやろうと思ったのに逆に脅されてるし。なんかいい手はないかなぁ。編集に電話してみるか、、、。 「正木さん、それは僕の専門外です。いい人を紹介しますよ。社会保険労務士なんですが」 「へ〜、是非お願いします」 「はい、電話番号は、、、」 「ありがとうございます。早速電話してみます」 「はい、いい原稿期待してますよ」 早速電話した。 「はい、社会保険労務士の江田です」 「あ、正木と申します」 俺は一連の流れを説明した。 「失礼ですが、それは通用しませんよ。労基署が店長に電話しないのは社...