ディスラー 唐突な言葉
音声 https://open.spotify.com/episode/7DshQQDiP8681pbfJLePds?si=A554zDFWTfOq5OCPgk34eg
彼らはいつも、唐突に口を挟んでくる。
「嫌だ」
その一言を、まるで正義の言葉であるかのように。
僕が誰かに近づこうとすると、当の本人ではない第三者が言う。
「嫌だ」
まるで代弁者にでもなったつもりで。
余計なお世話だ、と心の中で吐き捨てる。
その人がどう思っているかなんて、誰にも分かりはしないのに。
拒否というのは、本来とても個人的な行為だ。
それを横から奪い取り、声高に振りかざす人間がいる。
彼らは自分が拒否する側に立つことで、
自分の価値が一段上がったような錯覚をしている。
「君なんか嫌いだよ」
その言葉の裏には、はっきりとした計算がある。
――自分は上で、お前は下だ。
――拒否する俺のほうが、値打ちがある。
そんな勝手な秤を、誰が頼んだだろう。
彼らは分かっていない。
ものごとはそんな単純な上下関係では決まらないということを。
誰が良くて、誰が悪いか。
それは声の大きさで決まるわけでも、
拒否した回数で決まるわけでもない。
むしろ明らかだ。
他人を貶めることで自分を保とうとする者が、
まともであるはずがない。
ディスる者は、常に自分の内側に怯えている。
だから先に「嫌だ」と言う。
拒否することで、拒否される恐怖から逃げているだけだ。
そういう人間たちを、僕はもう真剣には相手にしない。
値打ちの話をするなら、
少なくとも他人を踏み台にしない人間のほうが、
よほどまともだと思うから。
そういうわけで。
今日もどこかで、「嫌だ」という声が飛ぶ。
でもそれは、僕の物語の主役ではない。
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