悲しい目のロックンローラー
メジャーデビューの話が舞い込んできた。正直驚いた。メンバー4人全員20代後半だから、もうメジャーデビューは無いかなと思っていたところへだ。シングルCD1枚だが、メディアの宣伝が効いた。前回数十人だったライブが超満員。それから俺たちはメインストリームまっしぐら。俺はトンガリまくっていた。すぐに2万人くらいは集まって、みんな拳をあげて大盛り上がり。ライブが終わるとみんな満足して放心状態の奴もいれば泣いている奴もいる。
数年が過ぎた。金持ちになった。大きなマンションに住み、スポーツカーに乗り、いい女もだいた。いい酒も飲んでいるが、最近は酒がないと鬱気味だ。
最近のライブはつまらない。今日のライブもそうだ。客は盛り上がってるが、肝心お俺が盛り上がってない。ドラムは実力派で、今日もいい感じだ。ベースはパッと見ワイルド。だが内面の強さが表に出ていて、意外としっかり者だ。リードギターのカッコマンは下手なのに調子こいてる。曲は俺の鬱屈した心理が作り出す激しいもので悪くない。だが、歌詞の内容が何を言いたいのか表現できていない。アンコールの後、昔の曲をやった。明るい曲だ。やっと俺自身盛り上がった。曲も詩も素朴だが、俺の好きな曲だ。俺が盛り上がったのはその一曲だけ。俺の心とは裏腹に、客は最初から最後まで大盛り上がり、大満足のようだ。そしてライブは終わった。
俺はこのまま終わるんだろうか?
いや、このままでは終われない。世界の終わりが近づいているという感じはする。未来に希望なんかない気がする。だが俺はみんなを愛している。みんなを守りたい。誰かがその方法を教えてくれるのだろうか。そんな奴がいるんだろうか。俺は世界が終わるのを覚悟で、納得のいかないロックを作り続けるのだろうか。そんなバカな。薬でもやってブットブか。いやいや待てよ。今日、本屋で買ってきた本でも読むか。何々「Automatic」 お、なんだか面白いぞ。人類の将来は以外と明るいぞ。やっとやる気が出てきた。またいい曲が作れそうだ。ワッハッハ。
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